愛と音の花束を


帰宅後。
自室で、受付に届いた贈り物を紙袋から出していく。

花束は仕事柄見慣れてるとはいえ、自分がもらうとやっぱり嬉しい。
結構団員からが多いな。ありがたい。

あ、三神君から。
ドラックストアの本部に勤めている彼からは、医薬品メーカーのハンドクリームと、美容オイルと、サプリメントのセット。
今度ご自宅へ伺う際に、お花奮発しよう。

環奈からは海外ブランドのボディソープとボディクリームのセット。高そうだ。
今度美味しいものご馳走してあげよう。


そして、
差出人の名前がない箱がひとつ。

……シールが剥がれちゃったのかな? 誰からだろう?

怪訝に思いながらセンスのいいラッピングを解くと。

オシャレなパッケージのマウスウォッシュと、高級そうな歯磨き粉と歯ブラシ数本と歯間ブラシが、これまたオシャレに箱に収められていた。


……こんなもの贈ってくるの、ひとりしかいない。

……思わず笑いを浮かべると、涙も一緒に浮かんできた。

痛みに慣れるのと想いが消えるのと、早いのはたぶん、痛みに慣れる方かな、と思った。






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