愛と音の花束を
やがて音楽は穏やかで優しくなる。青年騎士と町娘との出会いの場面だ。

この後に最初の問題箇所がやってくる。ファースト・セカンドヴァイオリンともにフォルテで16分音符スタッカートの下降音型3小節。セカンドにとっては高い音(ラ)から。うわ、後ろの音程悪っ、しかも走るな!

私が内心焦る中、隣の暁は音程もリズムも完璧。

そして、弾いていて一番気持ちいい『親方歌手の芸術のモチーフ』へ。
壮大なメロディを弾きやすい音域でフォルテで歌える。
ファーストヴァイオリンは音が高くなっていくので後ろからつらそうな音が聞こえてくるけど、暁は難なく鳴らしてる。

問題ない。前と同じくらいにうまい。


この曲は他の楽器との絡みも楽しい。
同じ音型をずらして奏でたり、掛け合ったり。
今はまだ自分の音を弾くのに精一杯な人も、他の楽器の音を聴けるようになって、楽しめればいいな。

そう思って、後ろの椎名の音に耳を澄ます。

……ちゃんと弾けてる。私の耳にも入るほどに自信を持って大きな音で弾けてる。

最初からこれって結構感動。
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