愛と音の花束を



「で? 間宮さんとは、どこ行ったのよ?」

ただいま土曜夜。環奈と、駅前に新しくできた豆腐料理の店に来ている。
自分で選んだくせに、メニューを見て「豆腐でこの値段はどうなのよ?」とつっこんでいた環奈も、見た目オシャレで味がよい創作料理が続いて、ご機嫌。

コンミスの苦労を分かち合った後、暁の話になった。

私は湯葉をつまみながら答える。

「うどん屋さん」

あの後、公民館から近い、セルフサービスの讃岐うどんチェーン店に行った。

「うわー、色気ないチョイス……。わざと?」

「ノーコメント」

「で、どうだったわけ?」

「別に……普通に、いなかった間のオケの話しただけ」

「ふぅん。その後は?」

「別に……普通に、またねって帰ったけど」

「ふぅん。で、結花はどうだったわけ?」

「どうって……別に……」

「楽しかった?」

「楽しかった」

「ドキドキした?」

暁とは、昔に戻ったみたいに、会話が弾んだ。

楽しかった。

楽しかったけど……

「……ノーコメント」

環奈は肩をすくめた。
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