愛と音の花束を



「2年続けてヴァイオリン協奏曲やらなくても」
「私もヴァイオリン協奏曲やったら次は違う楽器の協奏曲がいいと思う。ピアノ協奏曲なら華やかでお客さん呼べるし」

まあ当然の意見だ。
さて三神君はどう返す?

「2年続けてだからいいんです。ブラコンは難曲ですから、メンコンの感覚が残っているうちにやった方が絶対にいい。失敗できない記念演奏会なら尚更です。ピアノ協奏曲は全然感覚が違いますから。
それに、ピアノ協奏曲はソリストと合わせる機会が限られますが、ヴァイオリン協奏曲なら僕が練習でソロ弾けます」

おお。それは聴きたい!
同じように目を輝かせる人、多数。

「実は、いいピアニストを見つけて現在交渉中です。ピアノ協奏曲は来年以降でお願いしたい」

と、羽生さん。
それは初耳。

「木管としてはブラコン推します」

と、本多さん。
第2楽章冒頭からの木管アンサンブルは、ブラームスらしい美しさ。本多さんのオーボエソロ、聴きたい。

私が援護する必要もなく、流れはブラコンに傾いていった。





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