愛と音の花束を



「『動物の謝肉祭』は順調?」

次のオケの練習日、合奏開始前に、私はいつものセカンドトップの席で、ファーストのトップサイド、つまり私の右隣に座る望月さんに声をかけた。

望月さんは嬉しそうに顔を赤らめ、「はいっ」と答えた。
この子は何故か私と話す時顔を赤くするのよね。

「ピアノと合わせられてるの? 私が昔やった時はピアノとなかなか練習できなくて、本番苦労したから」

「それは順調ですよ! 椎名さんがすごく頑張ってますから!」

……なぜ、ここで椎名の名前が出る?

私の気持ち、知ってる?

密かに動揺する私に、三神君がコンマス席から会話に参加してきた。

「そう。椎名さんはファーストですごく頑張ってくれてます。こちらが驚くほどに。楽しみにしていてください」

胡散臭い笑顔。

……何か、どこか、引っかかる。





< 275 / 340 >

この作品をシェア

pagetop