愛と音の花束を
椎名に手を引かれ、向かった先は、駐車場の外れにとめてある椎名のミニクーパーだった。
椎名は私の手を握ったまま、ハッチバックを開け、ヴァイオリンケースと荷物を入れる。そして、私のヴァイオリンケースとトートバッグも同様にしまった。
次に助手席のドアを開けると、私をそっと押し込める。
そこでようやく手を離し、私がポカンとする間に、運転席側のドアに回り、私の隣に乗り込んできた。
理解が追いつかない。
ただ、空気の密度が濃いのはわかる。
小さな車は車内も狭い。
距離が近い。
すぐそこに椎名の体温を感じる。
身体中が心臓になったみたいにドクドクしてきた。
冬の車内は寒いはずなのに、全然寒さを感じない。
「さて。もう一度言っておくけど、俺は彼女はおりません。長いこと好きな人ならいるんだけどね」
……近くで話す椎名の声が身体に響くと、ドキドキしすぎて心臓が痛い。
「相手も憎からず思ってくれてるはずなのに頑なに拒まれてて悶々としてたんだけど、その理由が分かって、今すごくスッキリしてる」
……そういうセリフを、そんな甘い声で言われると、もう、顔が熱くて、どうしたらいいのか。
「俺は今そんな感じ。結花ちゃんは?」
……そんな優しい声出さないで。理性が崩壊しそうです。
「今、どんな感じ?」
……あぁ、もう。
私はうつむき、両手で顔を覆った。
椎名は私の手を握ったまま、ハッチバックを開け、ヴァイオリンケースと荷物を入れる。そして、私のヴァイオリンケースとトートバッグも同様にしまった。
次に助手席のドアを開けると、私をそっと押し込める。
そこでようやく手を離し、私がポカンとする間に、運転席側のドアに回り、私の隣に乗り込んできた。
理解が追いつかない。
ただ、空気の密度が濃いのはわかる。
小さな車は車内も狭い。
距離が近い。
すぐそこに椎名の体温を感じる。
身体中が心臓になったみたいにドクドクしてきた。
冬の車内は寒いはずなのに、全然寒さを感じない。
「さて。もう一度言っておくけど、俺は彼女はおりません。長いこと好きな人ならいるんだけどね」
……近くで話す椎名の声が身体に響くと、ドキドキしすぎて心臓が痛い。
「相手も憎からず思ってくれてるはずなのに頑なに拒まれてて悶々としてたんだけど、その理由が分かって、今すごくスッキリしてる」
……そういうセリフを、そんな甘い声で言われると、もう、顔が熱くて、どうしたらいいのか。
「俺は今そんな感じ。結花ちゃんは?」
……そんな優しい声出さないで。理性が崩壊しそうです。
「今、どんな感じ?」
……あぁ、もう。
私はうつむき、両手で顔を覆った。