愛と音の花束を
三神君の美しく強いヴァイオリンに、那智の繊細なピアノが対等に寄り添う。

すごい。那智があの三神君と張り合ってる……。

その真剣な姿は、もう、はっきり言って、

とてもかっこよくて。

こんな関係にならずともかっこよく見えただろうけど、特別な関係になった後のせいか、もう、顔が緩んでしまうくらいにとびきりかっこよく見える。


序盤の音楽は、サラサラと流れていく。
抑揚は必要最小限。
気品が香り立つようなフランク。

2人の美しい音でこの美しい曲……ゾクゾクが止まらない。


次は、ヴァイオリンをピアノが追いかける。

今までこの曲を聴く時はいつもヴァイオリンに注目してきたから、ここまでピアノに釘付けになって聴くのは初めて。
さりげない伴奏が曲に与えるニュアンスがこんなに素敵だなんて。


曲は進むにつれ、段々熱を帯びてきた。
淡白とさえ思えた透明な音楽に、色がついていき、温度が上がっていく。

2人の動きが大きくなり、ダイナミクスとアクセントがビジュアルでも伝わってくる。

ほんとに微妙なタメや、わずかに速まったり緩んだりするテンポ。前に出たり後ろに引いたりする音のバランス。
2人の絶妙なセンスの絡み合いは聴く者を虜にする。
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