愛と音の花束を
すると那智は、私をそっと抱き上げ、自分が椅子に座り、膝の上に私を座らせた。

後ろからぎゅっと抱き締められる格好になる。

大きな身体にすっぽり覆われると、たまらない幸福感。

「俺、すごい嫉妬深いよ。設楽先生にも三神君にも間宮さんにも本多さんにも嫉妬するくらい」

どれだけ正直に申告してくるんだ。

「……それは申し訳ありませんでした」

「でも今は、結花がいっぱい好きって示してくれるから、許す」

「……そんなに示してる?」

「俺には分かるの。かわいくてたまんない。……ほら、顔赤くしてくれるし」

そりゃ、赤くもなるわよ!

那智はテレビを消した。

「ちょっと、まだ途中」

「ソラのことはいいの。どうせ録画してるし。今は結花といちゃいちゃしたい」

首筋に吸い付かれる。

嬉しさと気持ち良さと期待で、うっとりしてしまう。

……これなのかな?

まあ、いいか。

今は余計なこと考えずに、好きな人とくっつける幸福を噛み締めたい。

失恋したことがあるからこそ、
より深く味わえる幸福を。







< 334 / 340 >

この作品をシェア

pagetop