愛と音の花束を
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季節は、春。
定期演奏会当日。
おかげさまで本番は3曲とも大成功といっていい出来。
生きていてよかった、
音楽やっていてよかった、
と何度も思えた。
レセプションを終え、那智と2人、ホールから駐車場まで歩く。
もうすぐ日が暮れる。
「一年後には、那智がピアノ協奏曲弾くんだね」
「そうだね」
「楽しみ」
「そう言ってもらえると、励みになります」
「じゃあ、はい、これ。お疲れ様でした」
私は立ち止まり、一輪の花を差し出す。
太陽のような、大きな大きな花。
今回はピンク。
「あ。キングプロテア」
那智は嬉しそうに笑う。
「偉い。名前覚えてたんだ」
「そりゃもちろん。覚えるついでに花言葉も調べた」
「花言葉は諸説ございますので」
「じゃあ都合のいいものを選びます」
那智はキングプロテアを持つ私の手を上から握り、耳元に口を寄せて来た。
付き合って数ヶ月たつというのに、いまだにドキドキする。
たぶんこの先もずっと、こうだろうと思う。
だから、キングプロテアを贈った。
花言葉は、
–––––––「甘い恋。華やかな期待」