愛と音の花束を
ところが三神君はこの件になると、珍しく頑なに断り、いつも団長とバトルになる。
「組織票は除外していただきたい」
「心外だなぁ。みんな真面目に投票してるのに。
何もさ、チャイコとかブラームスとかベートーヴェンとか、長いやつじゃなくてもいいんだよ。メンコンとかブルッフとか短めのやつでも」
「ヴァイオリンコンチェルトなめてんですか!」
「だって5年前完璧なチャイコ弾いたの誰しも知ってるし」
「あれは学生で時間があったからあそこまでできたのであって」
「でもお前、今1日何時間弾いてんの。他の奴らが週何時間かの練習でごまかしてるのに対して、1日何時間?」
「プライベートに関することですのでお答えしかねます。
だいたい、素人でコンチェルトをやる意味がわかりません。どうしてもコンチェルトやりたいならプロ呼んでやるべきです。その方がある程度客数増加を見込めます」
「俺たちはお前のソロでやりたいの」
「勿体無いお言葉ですが、僕の本職はサラリーマンです」