かたかご
みえるの?…お会いしたい』
高市皇子の凛々しい姿を思い浮かべていた時だ。御名部皇女の心が届いたのか?帝の家族の様子を見守るように、高市皇子はひっそりと見つめている姿を見つけた。
『高市皇子様』
御名部皇女の心が優しく鳴った。
!トックン…
御名部皇女は、まだ一度も直接言葉をかわしたことがない。
なんと話しができないだろうか?
御名部皇女は、立ち上がるとそそくさと歩き始め高市皇子の元へ向かった「…」
高市皇子は、黙って立ち去ろうと、している。
「まっ…」
御名部皇女は、高市皇子を留めようとした。
しかしそんな思いは届くことがなく、高市皇子は去ってしまった。
御名部皇女は、勇気がない自分に悔しさを感じてくいた。
『高市皇子様…』
高市皇子が立っていた場所に立ち少しでも彼の温もりを感じようとした。『今度こそ、声をかけよう。』
心に誓った。
しかし…おだやかな日々は、少しづつ終わりを迎えていた。
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