かたかご
うつりにけり
兄の大友皇子の自害により、幕開きとなり敗者側の人間になってしまった、御名部皇女達であったが、
「一部のものが起こしたもの、よっておかくれになった我が兄の親族としてとりはからう」
それが、大海皇子のとりなしだった。
自害した大友皇子、そして大臣達のみ処分された他はとがめなしの穏便な配慮に心の大きさをみな感じていた。
大海皇子は、帝となり平和なひびがもどってきた。
しかし、一人を除いては…
「十市様、おかけんは」御名部皇女は、複雑な立場の十市皇女が体調がおもわしくないとうかがっていたので、見舞いにやってきた。
帝の正妃であったころの豪華な建物ではなくひっそりとした建物に息子のかどのおうと数人の舎人と釆女と静かに暮らしていた。
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