かたかご
葛野王は、ちょっと不満顔でいたが、
「はい。母上」
そういうと部屋へさっていった。
「十市様?」
御名部皇女は、そっと声をかけた。
「御名部様…少し休みます。」
「ええ、そうですね
私もいとましますので…」
御名部皇女は、腰をあげた。
「ごめんなさい。せっかく来てくださったのに。」
十市皇女は、すまなそうに言った。
「また、きますね。」
御名部皇女は、微笑み部屋をあとにした。
御名部皇女が部屋をでるのとすれ違いに釆女が部屋へ入ると、十市皇女は、釆女にこう言った。
「この品を、お返ししてきておくれ。高市皇子様に」
「!」
御名部皇女は、思わず足を止めてしまった。
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