かたかご
阿部皇女は、帝の命により、十市皇女とともに伊勢神宮へお礼参りに出向いていた。

「十市皇女様は?」
御名部皇女は、何気にききかえした。
「う〜ん。
相変わらずもの静かでしたよ。」
阿部皇女の答えに自分の欲しい答えはなかった。「そう。」
御名部皇女は、短く答えると、立ち上がり、阿部皇女をみた。
「これから十市皇女様の所にいってくるわ。」
「?お姉様?」
阿部皇女は、御名部皇女の行動に目を丸くした。「貴女と一緒に無事に役目をはたされたことを、お礼をかねて、いってくるわ。」
御名部皇女は、苦しいいいわけ?をいいながら、阿部皇女を部屋に置いてでていった。
一人のこった阿部皇女は、ポカンとした顔のままだった。
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