かたかご
父の天智天皇がおかくれになった今、継承順位は、父の弟である大海人皇子（おおあまのみこ）であった。
しかし、我が子がかわいいの余り、第１位継承順位の大海人皇子が頭の痛い種であった。
父が、病に倒れ容態が悪くなると、大海人皇子は「天皇の回復を祈りたく出家いたします。」
そうつげると、妃と共に吉野山へいかれてしまった。
そして、事実上、大友皇子が継承となった。天皇の手前みな何もいわなかったが、地方豪族の娘の母の子の大友皇子に周りのものは、不満を心にもち続けていた。
そんな周りの様子に母が心を痛めていた。
母は自分の父蘇我石川麻呂が権勢の犠牲で我が夫に殺害された悲しい思いを繰り返してほしくないそう思いでいる事を御名部皇女は、幼い頃から母の腕の中で聞かされいたから母の心情を察していた。
「母上、お気持ちはわかりますが、今は父上の喪がさきかと」
御名部皇女は、なだめ支度をすすめた。
「そうね‥お送りしないとね。支度いたします。衣をとっておくれ」
母は立ち上がり、釆女に声をかけた。
御名部皇女は、母の様子に安堵すると、阿部皇女に声をかけた。
「私たちも支度をいたしましょうか」
阿部皇女は、ゆっくりうなずいた。
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表紙・目次

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