かたかご
天智天皇の喪の席には、正妃倭姫(やまとひめ)をはじめ多くの妻達子供が出席していた。その中の一人である、御名部皇女は周りを見渡した。御名部皇女は、ある人物に目を止めた。
父が、思い続けた額田王(ぬかたのおおきみ)だ変わらず美しい。
ピント張っているような品の良さがただよってる叔父の大海人皇子の妻で皇女までもうけていたのに父が、奪うように妻にした女性である。
何故そこまで父を虜にしたのか?
そこまで、人を愛されるのか?愛せるのか?
私はまだ、人を愛することを知らない‥
どんなものだろう‥
御名部皇女には父の他界の悲しみより、父の心が気になった。
私たち姉妹は、かわいがってはくれたが‥
そんなことを考えていると、周りのざわめきに我にかえり、ざわめきの理由をさがした。
大友皇子様と正妃である十市皇女様(とおちのひめみこ)が、顔を出されたのだ。すべての送りが終われば、二人は即位される。
母の思いがきのせいであればいいのであればよいのだがと思った。
二人を見つめていると、ある男性の前で立ち止まり声をかけた。
「大海人殿は、ごかげんはいかがか?」
大友皇子に声をかけたのは大海人皇子の皇子、高市皇子(たけちのみこ)であった
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