音の鳴る方へ
「なんで、こんなことが……」

沙羅は、学校にきていた。

久しぶりの登校だが、生徒達は普通に挨拶してくれる。

別に、いじめられてるわけじゃない。

ただ、小柳には、確実にいじめられてる。

机の上には、解答欄が真っ白の小テスト。

目の前にはにやついた数学担当・小柳の顔。

沙羅は、久しぶりの登校で、たまたまあった小テストを受けることになっていた。

抜き打ちでは無いようだが、沙羅には伝えないようにと小柳がクラスメイトに指示したらしい。

これではまるで、罠にひっかかったみたいじゃないか。

沙羅は小柳に鋭い視線を送りながら、問題を解くが、いっこうに解けない。

10時ちょうどに始まったテストも、既に20分を過ぎていた。

解けない。

解けない。

解けない。

沙羅にも、それなりの焦りが芽生えてきた。

いくら馬鹿キャラでも、一年前までは学年トップだったのだ。

いつからこうなってしまったのだろう。

特別嫌いというわけでもないのだ。

ただ、目の前の問題達が、しつこく私に問いかけてくる。

うるさい。

『なんで?とは??』

うるさい。




まて。なんであの言葉が浮かんでくる?

知らないやつから言われた言葉。

何なんだよ。




沙羅はテストを諦めた。
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