カナリア
文鳥

愛して1

文太君は勤勉で、時間を合わせるのが難しい。


私は私で、学校にレポートにバイトで暇ではないので、べったりともいかない。


どうしようと考えた結果、昼休みはどうかと提案された。


昼食を済ませた後、文太君の都合がいい日等はゆっくりとしたり、一緒に勉強しようという事になった。

(といっても、分野が違うので自習だが)



文太君の学校の食堂は広く、昼のピークが過ぎれば勉強できるスペースの代わりになっている。

家に帰れば幼い弟、犬、猫、鳥まで飼っており勉強どころではない。昔から勉強はもっぱら外で、が習慣付いていた。親交を深めるついでに勉強もできる。一石二鳥だ。



人もまばらになった食堂で、赤い上着を羽織った文太君を見つけた。


「文太君、おまたせー!」


「わざわざコッチまで来てくれて、お疲れ。」


「席取りありがとー!あ、遅刻してない?私、大丈夫?!」


そう冗談ぽく言うと、文太君は目をほそめた。


「ちょっと。前の事、根に持ちすぎ。」 


「あはは。」


「荷物見てるから、飯、買ってきたら?」


「ううん!お弁当!持ってきてるの!」


「へー……。」


「文太君は?」




「あー……。今日は、いいかな。」


「ちゃんと食べなきゃ駄目だよ。」


「大丈夫。ご心配なく。食ってる食ってる。」


「いつもは学食?」


「まーね。弁当の方が安上がりだろうけど、用意する時間が勿体無い。」


「そっかー。面倒かー。結構面白いんだけどな。彩り綺麗に入れられた時とか気持ちいいし。」


「得意なの?」


「得意というよりは、楽しいってだけだよ。」


「ふーん。いいんじゃない。料理は必要最低限の条件だと思うよ。」


何が、と尋ねる私に彼は言った。


「うーん、合コン?」


「ごっ……!そんなつもりで料理してないよ!!」


「あ、違うの。」


「ちがう……!どんな偏見持ってんの!」


全力で否定する私を見て、文太君は楽しそうに笑っている。
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