カナリア
「やっぱり加湿器あると思う?」
「風邪予防のためには必須だよ。」
「へー。」
「なんか、意外。文太君って、健康管理シッカリしてるイメージ。」
「まあ、できる範囲では……あ!あのクッション座りたい!」
大学から歩いて一駅ほど、大型ショッピングモールへと買い物デートに来ていた。
冬前に加湿器を買いたいと思っていたので、ついでにちょうどイイかな、と。
友達とはこうやって、意味もなくぶらついて買い物はしたりするが……。
デート、となると塩梅がわからなくて、暫く悩んでいたが、別に文太君とは恋人でもなかったので、いつも通りでいいや、と答えが出た。
まだ自分でも良く分からないって事は、そんな時じゃないのだろう。
うん、きっとそうだ。そうそう、文太君もいっていた。
一つの経験にしよう。
「ね、ねえ文太君。デート、楽しい?」
「ク、フフ……楽しい?じゃなくて楽しむ物だよ。
こういう些細な事でも楽しめるかなーとか、何が好きなのかなーとか。さぐれるいいチャンスじゃん。」
「んーなるほど……了解。」
「何か食べる?」
「えっ、あー……いいよ!」
「歩きっぱなしも疲れるでしょ。」
あ、気を利かせてくれたのか、とちょっぴり感動した。
「文太君は?」
「飲み物でいいや。」
「じゃあ、私も……飲み物でいいや……。」
「アレ食べなよ、あの十連パンケーキ。」
「太る!!」
帰り道、すっかり暗くなった。
なんていうか、これがデート、かぁ。
もっと緊張するものかと思ってたけど、友達と買い物いくみたいな感じだったし、そんなに気を張り過ぎなくてもいいのかもしれない。
「私の買い物に付き合ってくれてありがとう。あと、わざわざ家の近くまで送ってくれて。」
「本当は家の前まで送ってってもいいんだけど、それも、ちょっと、ねえ?」
「?」
「デート、になったならいいんだけど。
うーん、そうだな。まだもうちょっと、足りないかも。」
「足りない?……!!!!」
思った以上に強い力で腕を取られて、壁に叩きつけられるようにして追い込まれた。
はっと顔を上げれば、文太君の顔の近さに驚いて体をのけぞると思いっきり頭を壁にぶつけてしまった。
痛っと口に出して訴えれば、文太君が声を殺して笑う。
その吐息さえ、鼻にかかる近さで、一体何が起きているのか混乱が加速する。
「あの、文太君……」
慌てすぎて、逃がすまいと、腰に腕が巻きついている事にも気づかなかった。いつの間に!
「目、閉じないの?」
「目!?えっ!?何で?」
「何でって、言わなきゃ分からない?」
??!!?
そう、いきなりすぎて、思考がぐるぐる回る。
拒絶に肩を押すが、混乱が勝ってなんら抵抗になっていない。
あ、としているうちに、鼻先に軽く唇が触れて、心臓が大きくはねた。
「文太君、ま、待っ……」
「おい、何してるんだよ!」
「風邪予防のためには必須だよ。」
「へー。」
「なんか、意外。文太君って、健康管理シッカリしてるイメージ。」
「まあ、できる範囲では……あ!あのクッション座りたい!」
大学から歩いて一駅ほど、大型ショッピングモールへと買い物デートに来ていた。
冬前に加湿器を買いたいと思っていたので、ついでにちょうどイイかな、と。
友達とはこうやって、意味もなくぶらついて買い物はしたりするが……。
デート、となると塩梅がわからなくて、暫く悩んでいたが、別に文太君とは恋人でもなかったので、いつも通りでいいや、と答えが出た。
まだ自分でも良く分からないって事は、そんな時じゃないのだろう。
うん、きっとそうだ。そうそう、文太君もいっていた。
一つの経験にしよう。
「ね、ねえ文太君。デート、楽しい?」
「ク、フフ……楽しい?じゃなくて楽しむ物だよ。
こういう些細な事でも楽しめるかなーとか、何が好きなのかなーとか。さぐれるいいチャンスじゃん。」
「んーなるほど……了解。」
「何か食べる?」
「えっ、あー……いいよ!」
「歩きっぱなしも疲れるでしょ。」
あ、気を利かせてくれたのか、とちょっぴり感動した。
「文太君は?」
「飲み物でいいや。」
「じゃあ、私も……飲み物でいいや……。」
「アレ食べなよ、あの十連パンケーキ。」
「太る!!」
帰り道、すっかり暗くなった。
なんていうか、これがデート、かぁ。
もっと緊張するものかと思ってたけど、友達と買い物いくみたいな感じだったし、そんなに気を張り過ぎなくてもいいのかもしれない。
「私の買い物に付き合ってくれてありがとう。あと、わざわざ家の近くまで送ってくれて。」
「本当は家の前まで送ってってもいいんだけど、それも、ちょっと、ねえ?」
「?」
「デート、になったならいいんだけど。
うーん、そうだな。まだもうちょっと、足りないかも。」
「足りない?……!!!!」
思った以上に強い力で腕を取られて、壁に叩きつけられるようにして追い込まれた。
はっと顔を上げれば、文太君の顔の近さに驚いて体をのけぞると思いっきり頭を壁にぶつけてしまった。
痛っと口に出して訴えれば、文太君が声を殺して笑う。
その吐息さえ、鼻にかかる近さで、一体何が起きているのか混乱が加速する。
「あの、文太君……」
慌てすぎて、逃がすまいと、腰に腕が巻きついている事にも気づかなかった。いつの間に!
「目、閉じないの?」
「目!?えっ!?何で?」
「何でって、言わなきゃ分からない?」
??!!?
そう、いきなりすぎて、思考がぐるぐる回る。
拒絶に肩を押すが、混乱が勝ってなんら抵抗になっていない。
あ、としているうちに、鼻先に軽く唇が触れて、心臓が大きくはねた。
「文太君、ま、待っ……」
「おい、何してるんだよ!」