カナリア

愛して2

私は今、すっかり慣れ親しんだ彼らの大学に来ている。


文太君に”デート”の日のことを謝りに来たのだ。

昼は学食にいるっていってたけど……。


――……あ、いた。……あれ、文太君、森田君と話している。


「おーい、文太。」


「……はあ。来た来た。」


「お前さ、この間のノート助かったわ~~~!文太のくせにやるじゃん!」


「おれだからやるんじゃん。」


「教育科学のさ~レポート頼むよ~~。明日までなんだけどさ。ほら、俺、文化祭実行委員で忙しかったじゃん?

暇かつ、がり勉の文太君にやってもらいたいワケ。」


「はあ?明日まで?ちょっと明日は時間ないな。」


「んだよつかえねーな。中村に頼むか。」



「…………。お前、何しに学校来てんだよ。人にレポート書かすためかよ。

くだらねーな。クズがしねよ。」


「おいテメェ!!!調子にのってんなよ!!!!」


「調子にのってんのはどっちだよ。つーかうっせぇから、すぐ大声だすなよ!」


「テメェも声でけーだろうが!」


まずい。二人が言い合いになり、ちょっと騒ぎになってきた。


「ちょっと!!先生呼びますよ!!!」


私が仲裁すると、森田は舌打ちをして去っていった。意外と簡単に引き下がった……。


「文太君!」


「……。」


「あっちょ、ちょっと待って……!」
(うわー怒ってる!)


食堂から外に出ていった文太君を追いかけた。


「文太君!」


「あの場にいたら注目、集めると思って。」


「あの……。怒ってる?この前の、デートの事……。」


「怒ってないけど、すっごく傷ついて腹立っただけだよ。」


「怒ってる!」


「彼氏いないって言ったのにさぁ。」


「彼氏じゃないよ!いとこの楓。

ひとつ上で、家の事情で中学上がるまで一緒に住んでたの。兄みたいな感じかな。」


必死で説明するも、へーー、と文太君は胡散臭そうにこっちを見てる。


信じてない!


「信じるよ。カナって、嘘つくような人じゃないと思うから。すっげームカついただけだから、気にしないで。」


「気にするよ……!」


「確かに、血は繋がってるんだろうなって思うよ。雰囲気似てるよね。肌とか髪の色とか。」


「あ、やっぱり。よく言われる!」


「で、デートいつ行く?」


「待って!脈略はどこいったの!」


「カエデサンの話になりそうで腹が立ったから、話を無理矢理変えてみた。

どこか遊びに行こうよ。仕切り直し。ほらほら、友達ってこういうのするでしょ?」


文太君の機嫌がコレで直るのなら……まあ、遊びに行くのはいいかな。文太君の事もっと知りたいし。


そう、もちろん友達としてね。



「ていうか、そうだね。おれもごめんね。ちょっとぶっとばしすぎたかも。友達、としてヨロシク。カナサン?」


「……あ、えっと……よろしく……?」


仲直りできたのかな、コレ。
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