カナリア
愛して7
いつものように、食堂にやってきた。……けど、文太君も森田君も来ていないようだ。
「ありがとうございます!先輩!」
「あんまり無茶すんなよ!」
「何かあったらヨロシクお願いします!」
文太くんだ!!!
授業にも出ず、学食でも現れなかった文太君を偶然にも校内で見つけて呼び止めた。
顔色も良く、声のトーンも、平生の彼が戻っていて、いや、むしろ逆に生き生きしている感じにも見える。安心した。
「どうしたの!?学食にもいないし授業も出てないし!」
「どうしたのって、
森田のこと、頑張ろうかなって。」
「頑張る?」
「あはは、アイツさー……あの後、やっぱりグレちゃって、ここ二日、学校サボっちゃってクラブ行ってるって情報もらったから、今日、突撃してやろうかと。」
「えっクラブ?!」
「せっかくだし、本当はカナにも手伝ってもらいたいなって思ったけど。」
……思ったけど?
「――待ってて。
で、もし、駄目だった時に
抱きしめて慰めて。」
……っ!?
「返事は?」
「えっ……あ、の……
信じてる。森田君と仲直りできる事を。」
「……ありがとう。」
「セイー!」
突如掛けられた声に、ビクリと反応する。
セイのサークル仲間だ。
しかし、文太君は特に動じもせず、いたって普通だ。
「お前、大丈夫か?暫くサークル休むって、部長から聞いたけど。ってうわ、何、口元怪我してんの?」
「そうそう、喧嘩しちゃってさ~。心配かけるでしょ、だから休むのサークル。」
文太君は、平然と会話をする。
「うわー……あんまり無茶すんなよ……」
「してないしてない。
おれそんなキャラじゃないし。」
「アハハ。じゃあ何で喧嘩してんだよっ!
邪魔したら悪いし、またなー!カナさんもまたサークル来てくれていいからねー!」
そう言って、私にも手を振って去っていった。
「あれ……?結構普通に……大丈夫なの……?
こういう事あったり……する?」
「まあ、ぼちぼち。」
「もしかして、隠してないの?」
「言ってないだけ。彼も“ちょっと機嫌が悪い”位にしか思ってないよ。普通は気づかないんじゃないかな。」
そんな物なのか、と驚いた。
私からみたら、確かに同じ顔なんだろうが、彼らは全くの別物、として認識していたからだ。
顔の同じ兄弟、という感じだろうか。よくよく見ればその違いをハッキリ分かる事が出来る。特に声なんて、全然違ったのに。
「……この秘密を知っているのは、カナだけだよ。」
うすうす感じてはいたが。
誰にも言っていないのだろう。
確かに、言う必要がないくらいに、
彼らは問題なく普通に生活していた。
もうちょっと情報が欲しいから、と言ってクラブに行こうとした文太君に、一人で大丈夫なのかと問うと、
「うーん……。まあ、そうだね。おれと森田の問題だからね。あんまり頼りたくないけど、本当にやばくなったら、岡目がいるから。」
「え、っと……そ、そっか……?
き、木場君とかは?助けてもらったり、知恵をかしてもらったり。」
「あいつ?あいつなら、多分ハコを潰す方に持って行くから駄目だよ。」
「えっ」
「ありがとうございます!先輩!」
「あんまり無茶すんなよ!」
「何かあったらヨロシクお願いします!」
文太くんだ!!!
授業にも出ず、学食でも現れなかった文太君を偶然にも校内で見つけて呼び止めた。
顔色も良く、声のトーンも、平生の彼が戻っていて、いや、むしろ逆に生き生きしている感じにも見える。安心した。
「どうしたの!?学食にもいないし授業も出てないし!」
「どうしたのって、
森田のこと、頑張ろうかなって。」
「頑張る?」
「あはは、アイツさー……あの後、やっぱりグレちゃって、ここ二日、学校サボっちゃってクラブ行ってるって情報もらったから、今日、突撃してやろうかと。」
「えっクラブ?!」
「せっかくだし、本当はカナにも手伝ってもらいたいなって思ったけど。」
……思ったけど?
「――待ってて。
で、もし、駄目だった時に
抱きしめて慰めて。」
……っ!?
「返事は?」
「えっ……あ、の……
信じてる。森田君と仲直りできる事を。」
「……ありがとう。」
「セイー!」
突如掛けられた声に、ビクリと反応する。
セイのサークル仲間だ。
しかし、文太君は特に動じもせず、いたって普通だ。
「お前、大丈夫か?暫くサークル休むって、部長から聞いたけど。ってうわ、何、口元怪我してんの?」
「そうそう、喧嘩しちゃってさ~。心配かけるでしょ、だから休むのサークル。」
文太君は、平然と会話をする。
「うわー……あんまり無茶すんなよ……」
「してないしてない。
おれそんなキャラじゃないし。」
「アハハ。じゃあ何で喧嘩してんだよっ!
邪魔したら悪いし、またなー!カナさんもまたサークル来てくれていいからねー!」
そう言って、私にも手を振って去っていった。
「あれ……?結構普通に……大丈夫なの……?
こういう事あったり……する?」
「まあ、ぼちぼち。」
「もしかして、隠してないの?」
「言ってないだけ。彼も“ちょっと機嫌が悪い”位にしか思ってないよ。普通は気づかないんじゃないかな。」
そんな物なのか、と驚いた。
私からみたら、確かに同じ顔なんだろうが、彼らは全くの別物、として認識していたからだ。
顔の同じ兄弟、という感じだろうか。よくよく見ればその違いをハッキリ分かる事が出来る。特に声なんて、全然違ったのに。
「……この秘密を知っているのは、カナだけだよ。」
うすうす感じてはいたが。
誰にも言っていないのだろう。
確かに、言う必要がないくらいに、
彼らは問題なく普通に生活していた。
もうちょっと情報が欲しいから、と言ってクラブに行こうとした文太君に、一人で大丈夫なのかと問うと、
「うーん……。まあ、そうだね。おれと森田の問題だからね。あんまり頼りたくないけど、本当にやばくなったら、岡目がいるから。」
「え、っと……そ、そっか……?
き、木場君とかは?助けてもらったり、知恵をかしてもらったり。」
「あいつ?あいつなら、多分ハコを潰す方に持って行くから駄目だよ。」
「えっ」