カナリア
文太
……やばい遅刻する!!!
ちょっとした勘違いでレポートの提出日を間違えていた。
急いで対処した為、ギリギリなんとか間に合ったが、今度はコッチの約束にギリギリで間に合いそうにない。
運にかけて全速力で約束の場所まで走っている。
もう既に彼は到着して、壁を背に本を読んでいた。
彼の名は《文太》。
昨日会う為に数回メールのやり取りをしたが、淡白な印象だった。セイが人懐っこかったのと比べてしまうのもあるが。
「ご、ごめんなさい!お待たせしました!!」
姿勢良く、静かに本をたたんでカバンの中に直す動作は綺麗で見惚れそうだったが目が合った瞬間に思いっきりにらみつけられた。
「遅い!!!!!!
10分過ぎてんだけど!!!!!!!」
「すいません……ごめんなさい!!」
「普通さ、遅れるなら事前に連絡くらいしたら!?
それだけで全然違うんだから!」
「ご、ごめんなさい……まったくもってその通りです……。」
「謝罪とかいらないから。今まで謝って許してもらえたかもしれないけど、謝って済む感覚でいるのがおかしいんじゃない?」
「は、はい……。
次からは気をつけます……。」
「当たり前だろ!馬鹿じゃないの!!!
未来永劫気をつけて。だらしないのって、周りが迷惑すんの。」
「は、はい……。」
「少し気をつけるだけでアンタも嫌な思いしないんだから。」
「はい……。」
(第一印象最悪になってしまった……。メール打ってる時間もおしくてぎりぎりいけるかもしれないという自惚れがありました!
文太君が怒り狂うのも仕方ないよね……次から気をつけよう……。)
「ちょっと何ぐずぐずしてんの。」
「ハイイイ~……!!」
私が1人反省している間、いつの間にか文太君は先を歩き始めていた。
「立ち話もなんだし、セイがオススメしてるあっちのカフェでいい?」
「あっ…」
「そっちのカバンかして。」
有無を言わさず参考資料が入ったトートバッグを奪われた。かなり重たいはずなのに、特に気にしない様子は男の人なんだなって関心していたが
歩くのはやい……!!
置いていかれそうになる!!
「ま、待って……!」
「ダラダラしない。
後で休ませてあげるから。」
肌寒くなってそろそろコートを出す必要があるな、と思っていたくらいなのに冷たい飲み物がこんなに美味しく感じるなんて。
カフェに入ってやっと一息つけた。
首筋に汗が流れるのを感じながら、化粧が崩れていないといいなと思った。
「タオル貸そうか?」
「えっ」
「汗、たれてる。」
(ギャー!!!!首筋の汗に気をとられていたら額から汗が……!!)
「大丈夫です!!」
(と思ったけれど今日焦りすぎてタオル忘れてきてるー!!!不覚すぎ!!!)
「……はい。」
ぐいっと目の前にハンドタオルを差し出され、思わず手に取った。早く使えと促され、しぶしぶ了承して汗を軽くぬぐう。
深い緑色のチェックのハンドタオルは、柔軟剤のいい香りがする。
「女子力たりないんじゃないの。」
(あ、笑った……)
「使ってる柔軟剤、すごくいい香りだからかいでみて。」
「えっあ、うん!ちょっと思ってた!
香り控えめで……バニラ?ううん?ムスクっぽい香りもするし……フローラルっぽい??」
「柔軟剤の香りと洗濯後と乾いた後で香りが若干変わるんだって。
匂い控えめだし、カラスが見つけてきて愛用してるけど、おれも気に入ってるよ。」
「へえ……」
「はい、タオル返して。」
「えっ洗って返します!」
「はあ?この柔軟剤気に入ってるって言ってるでしょ。
あんたに洗われたら違う匂いになって返ってくるじゃん。返して。」
そう言ってタオルは強引に奪われてしまった。
もしかして、気を遣わせない為だったのだろうか。
ちょっとした勘違いでレポートの提出日を間違えていた。
急いで対処した為、ギリギリなんとか間に合ったが、今度はコッチの約束にギリギリで間に合いそうにない。
運にかけて全速力で約束の場所まで走っている。
もう既に彼は到着して、壁を背に本を読んでいた。
彼の名は《文太》。
昨日会う為に数回メールのやり取りをしたが、淡白な印象だった。セイが人懐っこかったのと比べてしまうのもあるが。
「ご、ごめんなさい!お待たせしました!!」
姿勢良く、静かに本をたたんでカバンの中に直す動作は綺麗で見惚れそうだったが目が合った瞬間に思いっきりにらみつけられた。
「遅い!!!!!!
10分過ぎてんだけど!!!!!!!」
「すいません……ごめんなさい!!」
「普通さ、遅れるなら事前に連絡くらいしたら!?
それだけで全然違うんだから!」
「ご、ごめんなさい……まったくもってその通りです……。」
「謝罪とかいらないから。今まで謝って許してもらえたかもしれないけど、謝って済む感覚でいるのがおかしいんじゃない?」
「は、はい……。
次からは気をつけます……。」
「当たり前だろ!馬鹿じゃないの!!!
未来永劫気をつけて。だらしないのって、周りが迷惑すんの。」
「は、はい……。」
「少し気をつけるだけでアンタも嫌な思いしないんだから。」
「はい……。」
(第一印象最悪になってしまった……。メール打ってる時間もおしくてぎりぎりいけるかもしれないという自惚れがありました!
文太君が怒り狂うのも仕方ないよね……次から気をつけよう……。)
「ちょっと何ぐずぐずしてんの。」
「ハイイイ~……!!」
私が1人反省している間、いつの間にか文太君は先を歩き始めていた。
「立ち話もなんだし、セイがオススメしてるあっちのカフェでいい?」
「あっ…」
「そっちのカバンかして。」
有無を言わさず参考資料が入ったトートバッグを奪われた。かなり重たいはずなのに、特に気にしない様子は男の人なんだなって関心していたが
歩くのはやい……!!
置いていかれそうになる!!
「ま、待って……!」
「ダラダラしない。
後で休ませてあげるから。」
肌寒くなってそろそろコートを出す必要があるな、と思っていたくらいなのに冷たい飲み物がこんなに美味しく感じるなんて。
カフェに入ってやっと一息つけた。
首筋に汗が流れるのを感じながら、化粧が崩れていないといいなと思った。
「タオル貸そうか?」
「えっ」
「汗、たれてる。」
(ギャー!!!!首筋の汗に気をとられていたら額から汗が……!!)
「大丈夫です!!」
(と思ったけれど今日焦りすぎてタオル忘れてきてるー!!!不覚すぎ!!!)
「……はい。」
ぐいっと目の前にハンドタオルを差し出され、思わず手に取った。早く使えと促され、しぶしぶ了承して汗を軽くぬぐう。
深い緑色のチェックのハンドタオルは、柔軟剤のいい香りがする。
「女子力たりないんじゃないの。」
(あ、笑った……)
「使ってる柔軟剤、すごくいい香りだからかいでみて。」
「えっあ、うん!ちょっと思ってた!
香り控えめで……バニラ?ううん?ムスクっぽい香りもするし……フローラルっぽい??」
「柔軟剤の香りと洗濯後と乾いた後で香りが若干変わるんだって。
匂い控えめだし、カラスが見つけてきて愛用してるけど、おれも気に入ってるよ。」
「へえ……」
「はい、タオル返して。」
「えっ洗って返します!」
「はあ?この柔軟剤気に入ってるって言ってるでしょ。
あんたに洗われたら違う匂いになって返ってくるじゃん。返して。」
そう言ってタオルは強引に奪われてしまった。
もしかして、気を遣わせない為だったのだろうか。