カナリア
おれ達の、人格の領分のイメージは白い部屋だ。

白い部屋の真ん中には空っぽの鳥かごが置かれ、天井はなくて黒い空が覗いている。

五つの扉があって、それぞれ部屋を持っていた。

カラスが行動している時間は、この辺りにうろつく事が多い。


そうして、おれ達は人格を認識できた。


いつでも出られるようにと、扉の近くのソファーに岡目が座っているのだが。

今日はいないらしかった。





…………。



嫌な予感がして、一番近く……――

セイの部屋のドアノブに手を掛けたときに、

いとも簡単に回って、外れるように扉が開く。


セイの部屋は、お菓子や可愛いものが溢れてて

一見女の子の部屋みたいだったのだが。








そこには夜空を写す黒い海が、


目の前に広がっていた。


遠くで静かに光が

海へと消えていったのが見えた。
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