カナリア
「あれ、寒い……!ここ……何処!?カナ!?」


「文太君……。」


「この、服……――カラス?」


「うん。」


「……。……カラスは、何て?」


「“ありがとう、文太をよろしく”って。」


「あいつが?そんな事をいったの?


……そっか。そっ…か……。」



泣き出した文太君を見て、

彼が一番救いたかったのは誰だったのか、

分かった気がした。




チラチラと視界に入ったソレに顔を上げると、

雪が降っていた。


とても小さく見えた文太君が
凍えてしまってはいけない。

ぬくもりを分け与える様に抱きしめてあげた。



私は、彼と……――文太君と生きていく。
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