桜の花びら、舞い降りた
本当は分かってる。
ここから飛び降りて圭吾さんのところに行けるわけがない。
「圭吾くんと約束したんだろ? 四月十六日に会うって。圭吾くんはちゃんと生きるって約束したのに、亜子はそれを破るのか」
「圭吾さんとの約束?」
「そうだよ」
『四月十六日、亜子ちゃんの誕生日にあの神社で会おう』
圭吾さんは、確かにそう言った。
「圭吾くんを待ちぼうけにさせる気なのか?」
……そうだよ。
私、なにやってるんだろう。
「俊さん、ごめん」
「俺に謝っても仕方ないだろ」
俊さんは、「ほら」と手を伸ばして私を立ち上がらせた。
「ったく、このごろ顔を見せないと思ったら、ろくでもねぇこと考えてるんだから」
「……ごめん」
「もういいよ。ほら、行くぞ」
俊さんは、私の背中を押して歩き出した。
「紅茶、飲むだろ?」
小さくうなずくことで返事をした。