桜の花びら、舞い降りた
「美由紀、おいで」
「え、でも……」
迷いを見せたのは、ほんの一瞬だった。
彼女は強くうなずくと、俺の手を取り、川に向かって足を投げ出す格好で欄干に腰を掛けた。
クラリと目眩を感じるほどの高さだというのに、不思議と怖いという感覚はなかった。
それよりも、これでもう誰にも邪魔されないという思いの方が強かった。
――行くぞ。
美由紀と見つめ合うと、強く手を握り合いながら、同時に宙へと身を投げた。
みるみる近づく川面。
目をギュッと閉じた。
これで、ふたりは永遠に一緒。
願っていた未来がそこにはあった――。