あの日、キミが流した涙の先へ
「……お母さん」
全身に汗をかいたお母さんはどうやらわたしをずっと探してくれていたみたいだった。
でもお母さんの表情はいつものとは全然違う、冷たい目つきでわたしのことを思いっきり睨みつけた。
勢いよくわたしのところまで歩いてきたお母さんは
――パシッ
と大きな音が鳴るくらいわたしの左頬を叩いた。
ひりひりと痛むそこに、衝撃と痛みで涙が出そうになるのを必死に我慢する。
「どうして!どうして!最後のスリーポイントシュートが決められなかったのよ!
あれが決まってれば勝てたのに、全部あの試合に負けたのは未希のせいよ!
あなたは日ごろ、どんな練習をしてきたのよ!
キャプテンとして周りを引っ張っていけない、大事な時にシュートは入らない。
試合終わったらすぐ逃げるなんてみっともない!
ねぇ、少しは何か言いなさいよ!未希!」
わたしの両肩を掴むお母さんは爪で跡がつきそうなくらい強い。
答えはもうわたしの中で決まっているのに、それを言うともっと怒られてしまうと思ったらどうしても口にすることができない。