あの日、キミが流した涙の先へ
だからだ、試合に負けた時は特にこうやって2人から責めるように指摘される。
それがいつもいつも嫌いで仕方がなかった。
わたしをちゃんとわたしとして見てくれていない気がして。
その時だけお父さんとお母さんが怖い人に見えて。
「今回の試合の敗因は未希、お前だ。その4番という背番号は飾りか?
キャプテンとしてお前は試合に何を貢献した?
……何もしていない。
今日の試合、実業団の練習を休みにしてまで観に行くものじゃなかったな。
恥さらしに行くだけだった。
これで推薦ももらいづらくなったじゃないか。
未希は試合終わってすぐに尻尾巻いて逃げたからいいが、応援しに来ていた他の人にため息を吐かれたり、陰口を言われるお父さんとお母さんのことも考えなさい!」
もう嫌だった。
自分でだって分かってるつもりなのに、いつも応援してくれるお父さんとお母さんにここまで言われてしまうことが。
わたしは下唇を血が出るくらい一度噛むと、一言だけ伝えた。