あの日、キミが流した涙の先へ
封筒に入った退部届を皺になるくらいぎゅっと握る。
さっき家で鏡を見たら両まぶたが腫れていて酷い顔をしていたけれど
これを渡すために今日は学校に行く。
学校に行くにはまだ早すぎる。朝練の時間にみんなとばったり合ってしまうのも嫌だから始業のチャイムのギリギリに行きたい。
学校以外でどこか時間を潰せるところ……。
ちょっと遠いけれど、昨日行った土手に行きたい。
わたしはその方向に向かって足を踏み出した。
行く道中で、何も食べる気にはならなかったけど昨日のお昼から何も食べてないのでコンビニに寄ってゼリー飲料を買った。
そして昨日は何も考えずに走っていたから、今日はきょろきょろ辺りを見ながら歩いた。
すれ違う早朝からウォーキングやランニングをする年配の人たちに変な子って思われたかもしれないけど、それでもよかった。
今までひたすら体育館でバスケをすることしか知らなかったわたしにはこの時間が欲しくて、欲しくてたまらなかったのだから。