あの日、キミが流した涙の先へ
飲料ゼリーの蓋をくるくると回して、口に含む。
グレープフルーツの味が口いっぱいに広がる。
すっぱいけどほのかに甘くて好き。
お父さんとお母さんにわたしがバスケを辞めること、どうやって納得しようか頭の中で考えてみた。
二人だけじゃない、女子バスケットボール部顧問の春野先生や部員たちにも……。
次の大会が高校生最後の大会。つまり、一回でも負けるとその時点で引退になる。
でもわたしには、あと一回戦ってる自分の姿なんて考えられない。
自分の目の前に書いてきた退部届を広げた。
「受け取ってもらえるかな……」
その紙はずっと握っていたからか少し皺になっていて、下の部分には丸く涙の跡も残っていた。
昨日の自分は相当追い詰められていたんだなって思う。