あの日、キミが流した涙の先へ



封筒をポケットの中に入れると半分は出てしまった。



これで第一関門は突破。



廊下を歩いて校舎を出た。校舎を出ると人気が一気になくなって体育館に続く通路を歩いて教官室の前までたどり着いた。



ドアの前に立ってからは、躊躇ってしまうのが分かっていたから止まらなかった。



トントンと2回ドアを叩くと、ドアノブを回して自分の方に引く。



「失礼します、女子バスケットボール部の望田未希です。



顧問の春野先生に用があって来ました」



「中に入ってきなさい」



昼食を食べていた先生と目が合った。



先生はお弁当を置くと急に表情が変わったように見えた。



「はい、失礼します」



ドアを音たてないように気を付けながら閉めて、椅子に座っている春野先生のところに足を進めた。



全身がぶるぶると震えているのが分かる。



わたしの足はいつも以上に動かなくなっていた。



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