あの日、キミが流した涙の先へ
「……すみません」
わたしはもう一度先生に頭を下げた。
本当に春野先生にも、部員のみんなにも許してもらえないことをしている。
こんな大事な時期に辞めるんだから、みんなを捨てたと思われてしまっても何も言えない。
「こんなもの、俺は絶対に受け取らないからな」
先生は机に置いてあった封筒と紙を一緒に掴むと、わたしの肩に押し付けた。
わたしはそれを落とす前にやっとの思いで掴む。
先生はもうわたしの方に目を向けず、後ろを振り向いてこう言った。
「俺は次の大会に新しいキャプテンを立てるつもりも、ガードのポジションも新しく立てるつもりはない。
望田が出ないなら、このチームは次回の大会棄権だ」
「そんな……」
そんなことしたら……3年生たちはわたしと同じように昨日で引退ということになってしまう…。