あの日、キミが流した涙の先へ



「どうしよう、わたし…何したらいいんだろ」



放課後はテスト期間中以外バスケをしたことしかない。



テスト期間中でも大会が近かったり、大会中だったら返上して部活をやっていた。



遊びに行きたい気持ちもあるけど、ひとりぼっちだし、部活をちゃんとやめられたわけじゃない……。



わたしはかばんに乱雑に入れた退部届をくしゃっと握りしめた。



受け取ってもらえなくても、わたしの気持ちは変わらない。



家に帰る時間はまだ早いから、今のわたしに時間潰せる場所はひとつしかない。



昨日いた男の子、また現れたりするかな。



そう思ったら足取りが軽くなって、わたしはイヤホンを耳に入れて音楽を聴きながら歩き始めた。



余裕が全然なくて反応すらできなかったけど、今日はもし現れたら話してみようと決めて。



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