あの日、キミが流した涙の先へ



「いいじゃん、そんな謙虚にならなくたって。



こんな何にも知らないやつにくらい自慢すればいいのに。



だって毎日毎日きつい練習に耐えて頑張ってるんでしょ?」



「俺、お腹空いたからおやつ食べていい?」なんて言い出した彼はわたしが返事をしないうちにかばんからチョコチップメロンパンを取り出していた。



椎原くんの言葉は他人事なのに、ストンと何かに嵌まるように自分の中に入ってきた。



今まで身近の人たちはわたしに対して褒めたり、励ましてくれるよりも



怒られたり、要求をされることばかりでこんな人はいなかった。



ほんの今の今までこの場を立ち去ろうと思ったのにもっと話してみたいと思ってしまった。



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