あの日、キミが流した涙の先へ
家にいる時はずっと自分の部屋に閉じこもっているから、どうなっているかは分からないけれど言葉だけは全て耳に入ってくる。
『あんな風に育てたのは誰だ』
『未希はバスケが好きなのになんでやめたいんだ。頭がおかしくなったんじゃないのか』
『何が未希には気に食わないのよ』
『バスケを辞めたらあの子には何も残らないじゃない』
そして、そんな言葉たちはこびりついた汚れのようにわたしの頭の中から消えてくれない。
寝る前になると何度も何度もそれがリピートされていつになっても眠ることができない。
つらくて、つらくて自分にはもう手に負えないくらいつらい。
毎回、毎回手のひらの上に爪を押し付けて握りしめているから、いつからか手のひらも皮がむけて血が出てくるようになっていた。