あの日、キミが流した涙の先へ
ぎゅっと目を閉じて、再び開くと……。
「……4番さん?」
わたしの横には不思議そうな表情を浮かべた椎原くんの姿があった。
「あっ……」
本当に、本当に同じ学校の人だったんだ。
3年目にして初めてここも学校外だけど……彼を見た。
なんか恥ずかしいところを見られてしまった。
周りの人たちは音楽を聴いてたり、友達と話をしてる人が多かったから誰も見てないと思ってたから。
「そんな思いっきり顔を叩いてどうかした?」
そう言いながらわたしの方に近づいてこようとしていたけれど、「椎原、はよ~!」と後ろからきた男子に肩を掴まれていてそっちに反応していた。
「はよってさ、いつも後ろからいきなり掴んでくるなって言ってるんだけど」
「いいじゃん!もう4月からやってんだから慣れただろ?」
椎原くんの友達ナイスだ。これでわたしはここから逃げられる。
何もなかったかのように、わたしはサッと早歩きをして立ち去った。
後ろから「ちょっと4番さん?」とわたしを呼ぶ椎原くんの声が聞こえてきたけどわたしは初めて会った時のように反応しなかった。
「4番さんって誰だよ?しかもその呼び方どうなの?」
「なんで?だって4番さんは4番さんじゃん」
「はー?」
友達の言う通りだよとわたしは心の中で呟いて、さらに歩みを速めた。