あの日、キミが流した涙の先へ
昇降口に入ろうとした時に「あー未希だ!おはよう!」とわたしを見つけた部員が先頭に、その周りにいたみんなが
それぞれ「おはよー!」と声を掛けてくる。
その中には違うクラスの子たちが「手首大丈夫?」「どれくらいで復帰できるの?」と心配してくれた。
「おはよ、朝練お疲れさま!手首は大したことないからすぐ治るよー」
笑顔を必死にみんなに向けながら、少し声のトーンを上げながら返す。
「本当に?良かった!
やっぱり未希がいないと部活が締まらないよ。早く完治して戻ってきてね」
わたしの目を強く見て念を押すように「待ってるから!」と言ってきて、圧倒されたわたしは「うんうん」と言いながらコクンコクンと頷いた。
でも肯定の返事をしてしまった途端、今度は後悔と罪悪感の気持ちが自分の中で広がる。
言っちゃいけなかった、絶対に。
でもわたしには上手く交わせる言葉も、ここで部活を辞める勇気もない。
こんなことを言ったってわたしはもう二度と部活に戻るつもりはないのに。
今日だってどんなにずるくたって、悪人になったって退部届を提出しようとしているのに……。