あの日、キミが流した涙の先へ
それからローファーから上履きに履き替えてみんなと一緒に教室までの廊下を歩く。
教室の入り口に着くたびに、手を振ってまた前に向かって進む。
そして次はわたしが教室に入る番になった。
「未希!お大事にね!次の大会までもうちょっとだけど焦りは禁物だよ」
「そうだよ!治す時は治すことに専念しよう」
「あとの3人はまた放課後ね」
わたしは「ありがとう」と言ってまた歩いてく部員たちに手を振った。
こんな風に心配してもらえるのも、手を振ってもらえるのも最後。
明日からはきっとわたしを今のようには目を向けてくれない。
だからわたしは『ごめんなさい』と心の中で謝りながら、手をいつもよりも多く振った。