あの日、キミが流した涙の先へ



「もう変なこと言わないでよ!未希がいないで私たちが勝てる訳ないでしょ、もう」



やけに大きな声を出して元の空気に戻してくれた副キャプテンの子。



同時にわたしの頭の中では“未希がいないで私たちが勝てる訳ないでしょ”が頭の中で何度もリピートされる。



嬉しい言葉のはずなのに、今のわたしには心をぐらぐらとさせる言葉になってしまう。



「ごめんごめん。なんか引き継ぎみたいで変なこと言っちゃった。



未希だって今は部活やりたくてしょうがないのにね」



「部活行こう!みんなもうきっと部室に集まってる」



その一声で3人はもう一度エナメルバッグを背負い直して、わたしに手を振って部室に向かって足音を鳴らしながら駆けて行った。



その後ろ姿が見えなくなるまでずっと見つめ続けた。



そしてわたしはいつの間にか誰もいなくなってしまった教室に再び入った。



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