あの日、キミが流した涙の先へ
お母さんと春野先生の話は1時間近くかかっていた。
その間に玄関のドアが開いた音もしてお父さんも帰ってきたのが分かった。
どうしよう、お父さんとお母さんにどうやって話をしよう。
でもどうしよう、どうしようと思い込むたびにどんどん答えは見つからなくなってくる。
ただ自分を追い詰めるだけ……そう分かってていてもそれをやめることもできない。
家から逃げ出そうかと思ったけど、だんだんお父さんとお母さんの足音が2階へ階段を上って近づいてきた.
それから間もなくして「未希、あなた何てことしたの!」という言葉とともに勢いよくドアが開いた。
お母さんはわたしの前までやってきて両肩をガシッと思いっきり掴んで、何度も揺らした。
「お母さん……わたしは」
「どうして親の相談もなしに勝手に退部届なんか出したのよ!ねえ!」
お母さんはわたしを思いっきり床に向かって突き倒した。