あの日、キミが流した涙の先へ



「みんな……ありがとう。



でもごめんなさい、わたしはもうバスケはやめるって決めたんだ。



それからわたし、みんなに部活を辞めることを黙っていたこと以外にも悪いことをしたの」



わたしは片方の手首をみんなの前に出して、今日も貼ってきていた湿布を思いっきり剝がした。



その行動を見ていたみんなは驚いた表情を浮かべている。



「この手首も本当は痛くもなんともなかった。



部活を辞める流れが春野先生とも両親ともうまくいかなくて……その間部活に出るわけにもいかなかったから訳をつくるためにやったの。



春野先生や卒業した先輩に選んでもらってキャプテンをここまでやってきたけど、わたしは本当はこんな引き留めてもらえるような存在じゃないんだよ。



だからわたしはもう……みんなとバスケできない」



そう伝えると、囲まれたみんなの中から抜け出して自分の教室へと入っていった。



後ろから「未希!」「未希!」とわたしの名前を何度も呼ばれたけどそれには決して振り向くことはなかった。



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