あの日、キミが流した涙の先へ
始業のチャイムが鳴るまでわたしは自分の席で突っ伏していた。
チャイムが鳴った後に廊下から早く自分の教室に行くように言う先生の声が聞こえた。
俯きながらそれぞれの教室に行くみんなを目で追いながら、心の中で許してもらえないのは分かってても『ごめんね』と謝った。
その日の1日は一人で過ごした。
授業中は入学してバスケ部に入った頃からの日々を思い出していた。
1年生の頃は3年生が引退するまで雑用の日々だったけれど、練習が終わった後に夜遅くまで自主練をみんなとしたこと
初めて練習試合に出してもらって、先輩にボールを回してもらってシュートを決めたこと
ユニフォームをもらって、スターティングメンバーにも選んでもらったこと
2年生になってからベンチ入りとベンチに入れない方で同じ学年の部員同士で2つに分裂したこと
3年生が引退する時にキャプテンを任せてもらえたこと
キャプテンの大変さを痛感してよく家で泣いていたこと
思い返したら辛いことばかりじゃないなって思えた。
同じクラスの女バスの子たちが休み時間になると、わたしと話をしようと席に来てくれたこともあったけどすぐに教室を出た。
昼休みも人気のないところで5時間目が来るのを待っていた。
そして学校が終わると、わたしはあの試合に負けた日と同じように何も考えずに走り出した―――。