あの日、キミが流した涙の先へ
目の前まで来ると、土手の上に繋がる坂をのぼる。
雨粒が顔にいっぱい付いて、それを制服の袖で拭う。
ここを上れば目的地に着く。
一歩、一歩上に向かって足を進めて、上りきるとわたしは肩に背負っていたかばんをコンクリートの上に無造作に置いた。
何日か前に来た場所なのに今日は雨で誰もいないし、通る気配もしない。
太陽が青色やオレンジ色に照らしていた世界も今日は雨雲で覆われていて灰色の世界.
きらきらと輝いていた川の水も土が混じり茶色に変わっていた。
土手に生える草にはたくさんの雨粒がついている。
わたしは今日泣くのを我慢していた涙を全部出し切るように、声をあげて泣いた。
今まで家で押し殺して泣いていた時の分も、ぜんぶ、ぜんぶ。
「……っ、この世界からわたしなんか……消えてしまえばいいのに」
強くなっていく雨がわたしの涙を隠して、しゃくりあげながら呟いた言葉は空気となった消えていった。