あの日、キミが流した涙の先へ
この後どうしようか。
太陽が沈んだから、これからどんどん暗くなっていく。
だけど……家には帰りたくない。
じゃあもっと自分も分からないような場所に逃げる?
もしも財布を持ってたり、私服だったら考えたかもしれないけど
今の格好は試合用のユニフォーム姿に、お金もスマートフォンも何も持っていない。
時計もないから今が何時なのかもわからない。
それに試合に出たし、ここまで走ってきたから汗もかいている。
「はぁ……」
この後、いろんな人に怒られるのを分かってるのに行かなくちゃいけないなんて。
わたしは「帰ります」とだけ知らない男の子に伝えると、ゆっくり立ち上がって走ってきた道を歩き出した。
何か彼が言ってくるかもしれないと思って、歩幅をいつもよりも狭くして歩いてみたけれど何も返ってくることはなかった。