あの日、キミが流した涙の先へ
Memory 6 忘れたいあの日、
風邪を引いて学校を休んだ次の日から毎日土手に通った。
部活をしなくなって時間に余裕ができたからわたしはそこに行って、ただぼーっと時が過ぎるのを待っているけど、椎原くんは来る日もあれば来ない日もあった。
そのうちに毎日ウォーキングや犬の散歩で利用しているおばさんたちにも声をかけられるようになってだんだん顔見知りの中になってきた。
今日も学校が終わってからすぐに歩いてここまで来た。
心地よい風が髪を揺らして通り過ぎていく。
椎原くんに初めて会った時もこんな風がふいてたなって思う。
あの時のわたしは試合が終わったらすぐに逃げ出して、ここまで来て太陽に照らされながら悔しくて、辛くて泣いていた。
わたしの後ろを通る人たちはわたしに気にすることなくスッと通り過ぎていくのに、彼だけは違った。