あの日、キミが流した涙の先へ
「何かあったわけじゃないけど、学校同じなのに一度も会ったことない人とどうしてここで会ったのか不思議になったの」
偶然だとは思うけど、椎原くんがピンポイントにわたしに声を掛けてきたのも偶然だったのかな。
彼は辺りかまわず誰でも座り込んでいたら声掛けるのかな。
そんな人には見えないけど……。
「そんなに気になる?」
「うん、ちょっとだけね」
わたしの返事に彼はいつもと違って浮かない顔をする。
もしかしてわたしが試合に負けた日の事を触れられたくないように、椎原くんにとっても触れられたくない日なのかも。
そうだったら聞いてはいけない。