あの日、キミが流した涙の先へ
バスケをすることがこわい。
なんでこんなこわい思いをしながらバスケをしなければいけないんだろう。
そう思っていても試合開始の時間はどんどん近づいていく。
コートに行きたくなくてバッシュを入った足が重くなる。
何度も何度もため息が出る。
会場に何か起きて試合が中止になればいいのにとさえ思ってしまう。
だけど……わたしはこのチームのキャプテン。
そんな弱い自分を見せることはできない。何があっても絶対に許されないこと。
「時間だよ。みんな行くよ!」
この言葉を部員たちに向けて口にしたと同時に、その言葉で自分に鞭を打って本当の自分を隠した。