未完成恋愛
どうしてオレは岡崎のこんな姿を見つけてしまうんだろう?

明らかに何かあったみたいだ。

岡崎は浴衣を着て髪を上げている…それだけなら良かった。髪は少し乱れていて…左の頬を少し赤くさせ今にも泣き出しそうな顔をしていた。

こんな時、大人になったオレならどうしたろう。
見て見ぬフリをして岡崎を送っていったのだろうか?
遠回りに理由を聞き出し、何かしただろうか?
オレはやっぱり子供で岡崎に配慮する事なくストレートにハッキリ理由を聞いてしまった

「何か…あった?」

「何もないわよ?村上も彼女とお祭りに来たの?」

彼女は先生らしく、しゃんとして答えた。

「う…ん」
「そっか!私も来てたんだけど…これから帰るトコなんだ。村上もあまり遅くまで遊んでないで帰りなさいよ」

岡崎が誤魔化そうとしている…それは明らかでオレには歯がゆい感じだった。

「ごまかすなよ?誰が見たって何かあったと思うだろ?」

「…!」

「…彼氏に何かされたとか…?」

「…」

「村上には…変なトコばかり見られてるわね」
「…この前の事もやっぱり憶えてたんだな?」
「…だって…あんな事しちゃって…私…教師なのに…」

岡崎は泣き出した。
< 13 / 49 >

この作品をシェア

pagetop