未完成恋愛
お互い誰かはわかっていて…それぞれ女を連れていた。

ここがホテルの出入口じゃなければ声をかけたかもしれない。

オレ達は目を合わせたが、暗黙の了解というやつで…無視してすれ違う。
オレは岡崎を見られないように肩を抱き寄せながら田上の横をすり抜けた。


田上は同中で、岡崎を知っている。
岡崎だとわかっただろうか…

田上が連れていた相手は、岡崎よりも年上に見えた。
彼女と呼ぶには似つかわしくない…

そして気付く。


多分…オレ達も世間から見ればそうなんだろう。

『ふさわしくない相手』
とは…そういう事なんだと。




翌週の月曜日、オレは田上と会ったが…お互い何も言わなかった。
それはお互いが秘密にしたい事だからだろう。



それからしばらくしてオレは担任と生徒指導の先生に呼び出された。

「何故呼び出されたかわかるか?」


心当たりは…たくさんあるな。
どこかでタバコ吸ってんのがバレたとか。
夜、バイトしてんのがバレたとか。



考えたくないけど…岡崎の事とか


「わかりません」

「先日…お前が女性とホテルから出てくるのを見たという報告があってな。確認の為に呼び出したんだ」
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