きみのおと


「ね、ねぇ。久賀くん・・・!あの、ハチマキの後ろに応援メッセージ書いてくれないかな・・・?」




体育祭を次の日に控えた放課後。
前日準備を終え、帰り支度を始めていた僕のところに女の子3人組がやってきてそう言った。

応援メッセージ?
なんだろう、それ。


ハチマキは、チームごとのハチマキを個人でもらうことになっていて、今日それは配られた。
僕たちのチームは赤色。



「あ、あのね。ハチマキの裏に、頑張れ、とか一言でいいから」




一人の女の子、たぶんクラスメイトの子が少し恥ずかしそうに言いながらハチマキとペンを差し出した。
頑張れって書いたらいいのかな。

そんな事、今までしたかな?

じゃあ僕も、誰かに書いてもらわないといけなかったのかな?




言われるがままハチマキとペンを受け取り、言われたとおりに頑張れと書いた。
それを渡すと、よくわからないけど喜んでくれたのかキャッキャとはしゃぎながら去っていった。


なんだったんだろう・・・。
でも、あんな風にしぃちゃんたち以外の誰かに話しかけられたのなんて初めてだ。
しぃちゃんと仲よくならなかったら、きっとこんなことなかった。




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